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経年変化するブルガリ! 改めて、時計は愛でるよりも使うほうが面白い

時計に込められた作り手の思いは、100本あれば100通りあるだろう。デザイン、素材、機構、ストーリー……。小さなプロダクトに詰まった豊かな個性。それを噛み締めながら愛用してみると、時計の新たな一面に出会えるかもしれない。前回の「知ればますます愛着が増す、腕時計の色とりどりなモノ語り」に続く、表現力の豊かな腕時計、中編。

BVLGARI ブルガリ
ブルガリ・ブルガリ



ブロンズケース、41mm径、自動巻き。62万円/ブルガリ ジャパン 03-6362-0100
重厚なブロンズを纏って新たな魅力を伝える

ローマ時代の皇帝の肖像画が描かれたコインをモチーフとし、1975年に100名のVIPに配られた時計。そんなストーリーを持ち、40年以上の歴史を超えて今なお愛され続ける名コレクションが、初めて重厚なブロンズケースを纏って登場。ブラックラッカーで加工されたダイヤルとブラウンレザーストラップによって引き締められたルックスはまさにモダンクラシカル。不変の魅力はブロンズの経年変化によって、着ける人それぞれの風合いとして表れていく。

TRUME トゥルーム
Cコレクション

SSケース、45.9mm径、ライトチャージ。18万5000円/トゥルーム 050-3155-8285
時を経て成熟する男のように無二の味わいが現れる

実は創業当時、エプソンが主としていたのは時計製造。そんな同社の原点を映すのがこの時計で、こちらは「街=CITY」をテーマとしたコレクションの最新作。ハイライトはアドバンティック仕上げと呼ばれるベルトで、2重構造の特殊な塗装加工により、使い込んでいくほどに2層目の色み(写真はグリーン)が少しずつ現れてくるというものだ。

VICTORINOX SWISS ARMY ビクトリノックス・スイスアーミー
イノックス カーボン
リミテッド エディション



世界限定1200本。カーボンケース、43mm径、クオーツ。14万円/ビクトリノックス・ジャパン 03-3796-0951
充電式フラッシュライトを備えた闇夜にも負けないタフウォッチ

高さ10mからコンクリートへ落下させる衝撃テストや戦車に轢かせる耐圧テストなど、過酷な耐久試験をパスするコレクション。モスグリーンダイヤルの最新作のバンパーには、なんとフラッシュライトが装備されている。パラシュートに使われる屈強なパラコードストラップと合わせれば、緊急時にも頼もしいツールとなるはずだ。

HYSEK ハイゼック
アビス クロノグラフ&グランドデイト


チタンケース、47mm径、自動巻き。450万円/ミスズ 03-3247-5585
ふたつのマイクロローターが見た目と機能を両面サポート

確かな技術力をベースに斬新な時計を作る、2007年創業のウォッチメーカー。クロノグラフと2枚のディスクで表示するビッグデイトが印象的なフェイスに、6時位置のマイクロローターが唯一無二の存在感をプラスする。さらにケース裏側にも、もうひとつのローターを設け、巻き上げ効率をアップ。外見の面白さだけでなく、実用面にも配慮されているのだ。

ROBERTO CAVALLI BY FRANCK MULLER ロベルト カヴァリ バイ フランク ミュラー
RV1G060L0003



SSケース、45mm径、手巻き。33万円/ミスズ 03-3247-5585
思わず眺めてしまう機械仕掛けの面白さ

シルバー×ブルーの配色が爽やかなこちらは、中央部分が大胆にカットアウトされたダイヤルから覗く、美しい機械式ムーブメントが見どころ。精緻に噛み合う歯車の様子は、時を忘れて眺めてしまうこと請け合い。大胆でエッジの利いたデザインを得意とするイタリアモード界の重鎮、ロベルト・カヴァリと、天才時計技師フランク・ミュラーの共作に相応しい出来栄えである。

ゼニスよりバンフォードとの提携モデルが発売

 ゼニスより、バンフォード ウォッチ デパートメントとの提携によって生み出された特別限定モデル、「クロノマスター エル・プリメロ レイダー」が発売された。ゼニスブティックのみの取り扱いとなり、販売本数は50本である。

ゼニス「クロノマスター エル・プリメロ レイダー」



ゼニス「クロノマスター エル・プリメロ レイダー」
バンフォード ウォッチ デパートメントは、2003年に設立された世界的に有名な英国のカスタムウォッチメーカーである。ダイアルにはコラボレーションモデルであることを示すべく、ゼニスのロゴとともに「BAMFORD」の文字がプリントされている。自動巻き(エル・プリメロ Cal.400B)。31石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径42mm、厚さ12.75mm)。10気圧防水。世界限定50本。82万円(税別)。
老舗ブランドの名機がまとう、新たなデザインコード
 バンフォード ウォッチ デパートメントは、LVMHグループ公認のカスタムウォッチメーカーであり、LVMHグループ傘下のゼニスやブルガリ、タグ・ホイヤーといったブランドのカスタムウォッチを取り扱っている。これは、バンフォード ウォッチ デパートメントが、LVMHグループお墨付きの技術力を有していることを証明している。

 今回、ゼニスより発売されたのは、同社が誇るハイビートクロノグラフムーブメントである「エル・プリメロ」を搭載した「クロノマスター」をベースとしたモデルだ。



それぞれで異なる3つのインダイアルは、このモデルの大きな特徴だ。そこには、バンフォード ウォッチ デパートメントのトップであるジョルジュ・バンフォードの強い思いが秘められている。9時位置のスモールセコンド表示の同心円のデザインは、彼の好むゼニスのヴィンテージウォッチに着想を得ており、6時位置の積算計は、クロノマスターの伝統的なデザインを踏襲している。スーパールミノバによって暗闇での視認性も確保されており、デザイン面、実用面双方に優れている。
 3つそれぞれに異なる意匠が与えられたインダイアル、全体をマット仕上げとしたリュウズやプッシャー、そしてケース、外周に向かって次第に濃くなるブラウンダイアル等、既存モデルと異なるデザインコードによってまとめられている。

 ひと際目を引くのは30分積算計に用いられる鮮やかなレッド。ダイアル上にこのような形でアクセントを入れるというアイデアは、ジョルジュ・バンフォードが初めてゼニスを訪問した際に見た、1916年製の懐中時計にインスピレーションを受けたものである。どこか懐かしいレトロな雰囲気をまといながらも、前述した挑戦的なデザインと相まって未来的な印象となっている。

 本質的な要素を守りながらも新しいデザインコードを取り入れたこのモデルは、69年の発表以来改良を重ね続け、今なおハイビートクロノグラフムーブメントの雄として君臨する「エル・プリメロ」を象徴しているかのようだ。


厚みのあるストラップは、上面にコーデュラ・イフェクトを施したラバー製である。レッドカラーのダブルステッチがアクセントになっている。

【2021新作時計】セイコー「プレザージュ ポルコ・ロッソエディション」

日本の美意識を体現するセイコーのプレザージュより、スタジオジブリ作品「紅の豚」とのコラボレーションモデルが2型が発売される。どちらも琺瑯ダイアルを採用。



スタジオジブリ作品「紅の豚」にインスピレーションを受けた限定モデル2機種を6月19日より国内、海外で順次発売する。限定数量はそれぞれSARR00(手前)が500本で、SARK017(奥)が600本。


日本の真摯なモノ作り
 セイコープレザージュとスタジオジブリが持つ共通の考え方である「日本の真摯なモノ作り」という考え方に基づいたコラボレーションモデルが2機種、2021年6月19日より国内、海外で順次発売となる。ロレックス サブマリーナ現代的な日本の芸術表現のひとつとして海外からも広く認められるアニメ文化。そのきっかけとなったと言っても過言ではないスタジオジブリの作品群は現在も世界中から熱烈なファンに支持されている。

 スタジオジブリは高橋勲、宮崎駿両監督のアニメーション映画制作を目的として、株式会社徳間書店の子会社として1985年6月に活動を開始した。創造性、独自の世界観、独特のビジュアルと物語性はアニメーションファンのみならず、幅広い年齢層に受け入れられている。その代表作品のひとつである「紅の豚」(1992年公開)はスタジオジブリがそれまで発表してきた作品に比べて、より大人の層を意識した作りとなっていることは誰もが感じたはずだ。主人公のポルコ・ロッソ(紅の豚)が空賊を相手に賞金稼ぎをする姿を描いた飛行ロマンが漂う名作だ。



セイコー「プレザージュ ポルコ・ロッソエディション」Ref.SARK017
メカニカルモデルでは3時位置にサボイアS-21尾翼の「R」マークが配されている。自動巻き(Cal.8R48)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SS(直径42mm、厚さ14.9mm)。10気圧防水。世界限定600本。40万円(税別)。
 本作品のコンセプトとして「人生の哀感や苦みも織り込んだ大人のためのアニメーション映画」という表現がトレーラー内でされているが、全編を通じて舞台となるアドリア海の美しい風景とポルコが操縦する飛行艇サボイアS-21、流れるBGM、ビジュアルの情景に至るまで漂う雰囲気は切ない思い出や、心に抱える哀しみを持つ大人だからこそ琴線に触れるものだろう。

プロペラをイメージして特別に作られた秒針
 ダイアルは飛行艇のコックピット表示パネルがインスピレーション源だ。視認性の高い時分針やアラビア数字、緻密な目盛りを採用している。プロペラをイメージして作られた秒針はこのモデルのために特別に作られたもので世界観を忠実に再現している。ダイアルから感じられる温かみのある美しさは琺瑯職人の横澤満氏の監修のもと作られている。

スプリングドライブモデルとは



セイコー「プレザージュ ポルコ・ロッソエディション」Ref.SARR005
スプリングドライブ(Cal.5R65)。30石。パワーリザーブ約72時間。SS(直径42mm、厚さ13.1mm)。10気圧防水。世界限定500本。57万円(税別)。
 機械式時計と同様に、ゼンマイの解ける力を動力源としながら、ICと水晶振動子により正確に制度を制御するセイコー独自の画期的な駆動機構。温度変化や衝撃・振動など外部環境の影響をほぼ受けない安定した時間制度、さらに流れるように滑らかな秒針の動き(スイープ運針)が特徴だ。スプリングドライブはクォーツ時計の長所である高精度と、機械式時計が持つ長所である大きなトルク、ふたつの長所を併せ持った駆動方法といえる。このスプリングドライブの完成までにはセイコーは20年以上かかったという。

セイコーウオッチ主要7ブランドから「ジャパンブルー」2021限定モデル

セイコーウオッチは、日本市場にのみ投入するブランド横断型の限定モデル「JAPAN COLLECTION 2021」全7機種を7月24日(金)より下記の7ブランドから同時発売する。
・セイコー プロスペックス
・セイコー アストロン
・セイコー プレザージュ
・セイコー ルキア
・セイコー ブライツ
・セイコーセレクション
・セイコー 5 スポーツ



売り上げの一部を日本赤十字社に寄付
 本作は、日本を象徴する「ジャパンブルー」と前向きな力を表現する「エナジーグリーン」をアクセントにした特別なカラーリングで、日本を応援する想いを込めた数量限定のコレクションとなっている。本限定モデルの売り上げの一部は日本赤十字社の活動資金として寄付される。寄付金は新型コロナウィルス感染症対策を含む赤十字活動全般に活用される。

ブランドの特徴に合わせたジャパンブルー
 日本では古くから、藍染めによって多様な藍色が生み出され、のれんや半纏、着物など生活に関わるアイテムに広く使われてきた。明治時代に日本に訪れた海外の人々は、豊かな藍のグラデーションが人々の営みに溶けこんだ光景を見て日本の美しい藍色を「ジャパンブルー」と呼び賞賛したと伝えられている。本コレクションでは、今日も様々な場面で愛される藍色の中から、鮮やかさを持ちつつ、本来の深みもあわせ持つ色を全機種のダイヤルベースに採用し、それぞれのブランドの特徴に合わせて「ジャパンブルー」の世界観を広げている。

「ジャパンブルー」のダイヤルやリューズには「エナジーグリーン」がアクセントを添える。この明るい黄緑色は 生命力、若々しさ、活発さ、前向きさなどのイメージを想起させるといわれている。ダイヤルカラーの「ジャパンブルー」と組み合わさることで、スポーティでエネルギッシュな 印象をもたらし、ここぞという時に冷静さと踏み出す勇気を与えてくれる特別なカラーリングになることだろう。



セイコー アストロン(SBXC055)
エナジーグリーンの秒針とAM/PM インジケーターが際立つモデル。立体的なケースは鏡面仕上げで美しく輝き、腕元を華やかに演出してくれる。オプションストラップには耐久性に優れるナイロンを採用。



セイコー プロスペックス(SBDC113)
深みのあるジャパンブルーのダイヤルにエナジーグリーンの秒針が煌めく。200m の空気潜水に対応する本格ダイバーズウオッチとしての
スペックも兼ね備えたモデル。オプションストラップにはシリコンを採用。

タグ・ホイヤーの新ブランド アンバサダーにプロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手が就任

タグ・ホイヤーは、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手のブランド アンバサダー就任を発表した。一時代に1人現れるのも稀なスーパーアスリート。彼らはスポーツに新たな定義を与えるだけでなく、自らの表現方法を駆使して世界的な影響力を持つ。23歳の日本人、大坂選手はこうした特別なスターの1人だ。



彼女が身につける新しいタグ・ホイヤーのウォッチは、そのファッションをいっそう際立たせるとともに、ブランドのレディースの新商品への注目度を高めるだろう。



2013年に女子テニス協会(WTA)のプロに転向以来、大坂選手は爆発的な力と影響力を持つ世界有数のテニス選手に成長した。これまでの戦績は、2016年にWTAアワード「最優秀新人賞」を受賞。 2018年には全米オープンで優勝、グランドスラムのタイトルを取った最初の日本人選手となり、シングルスで1 位の座を獲得した初のアジア人女性となった。その後2019年には全豪オープンで優勝、2020年には全米オープンで2回目のタイトルを獲得した。このスーパースターは、社会活動も先頭に立って声を上げている。
 スポーツ・イラストレイテッド誌は、大坂なおみ選手を「女子テニス協会(WTA)の未来」と表現している。彼女は世代を受け継ぐ、多文化な存在だ。彼女は、日本人の母とハイチ生まれの父の間に大阪で生まれ、幼少時に米国に移住、現在も米国在住だ。しかし、2021年8月に、2020年東京オリンピックが開催される際には、開催国の選手として戦う。